Ruffneck ft. Yavahn / All That Jazz - 針を落とせば、深夜のJazzクラブがフロアに再現される

Ruffneck ft. Yavahn / All That Jazz

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針を落とせば、深夜のJazzクラブがフロアに再現される。1997年、フィルターHouseやよりハードな4つ打ちがクラブを席巻していた時代に、あえて生音の温度感へ真正面から挑んだ1枚…今回レコメンドするのはそんな、Ruffneckによる All That Jazz (Original Mix) です。Ruffneckといえば、1995年にYello / Bostich を大胆にサンプリングした Everybody Be Somebody で世界的なヒットを記録し、クラブシーンに強烈なインパクトを残したプロジェクト。その印象から、ストリート感の強いピークタイムHouseを想像する方も多いかもしれませんね…しかし、この All That Jazz ではまったく異なるサウンドで魅せてくれます。


深夜のJazzクラブを思わせる有機的なグルーヴ

まず驚かされるのがイントロの空気感っ!軽快に刻まれるスウィンギンな4つ打ちに、しなやかなウッドベース風のラインが絡み、その隙間を縫うようにオルガンが跳ねる。Houseという明確なリズムの骨格を持ちながら、聴こえてくる感触は驚くホド生々しく、まるでJazzのセッションへそのまま4つ打ちを持ち込んだような独特のグルーヴが広がっていきます。ココで鳴っているのは単なる「Jazzっぽいサンプル」ではなく、音と音が互いに反応し合いながら動いているような、プレイヤーの呼吸までカンジさせる有機的で艶のあるサウンド。機械的な反復こそHouse Musicの魅力のひとつですが、この曲ではその反復の中に人間的な揺らぎを持ち込むコトで、なんとも言えないココチ良さを生み出しています。


Yavahnの声が「ヴォーカル」から「楽器」へ変わる瞬間

そして、そのサウンドの上を自由自在に舞うのがYavahnのヴォーカル…Jomandaのメンバーとしても知られる彼女ですが、この曲では一般的な歌モノHouseの枠を軽々と飛び越えています。妖艶でありながら芯のある歌声、そして即興演奏のように展開するスキャットが実に素晴らしいっ!メロディを正確に歌うというより、バックの演奏へ反応しながら声そのものをひとつの楽器として使っているように聴こえるんですよね。まるで深夜のJazzクラブでサックス奏者がリズムセクションやフロアの熱気に反応しながらアドリブを続けているかのよう。特にブレイク以降の高揚感は圧巻で、Dance Musicでありながら「演奏を聴いている」という感覚が非常に強い。ヴォーカルHouseでありながら、主役は歌だけではなく、曲全体で作り出されるセッションそのものなんです。


踊るための音楽と聴かせる音楽の境界線

リリック自体も、「音楽そのものへ身を委ねる歓び」をカンジさせる内容で、ハデなメッセージを押し出すというより、音とグルーヴの中に感情を溶け込ませていくタイプとなっています。だからこそ、この曲はクラブで大音量で浴びてもイイし、自宅で静かに聴いても深く沁みる。フロアではキックとベースが身体を動かし、自宅ではオルガンやヴォーカル、細かなパーカッションの動きを追いかけながらジックリ聴き込める。聴く場所によってまったく違った表情を見せてくれるんですよね。クラブで機能するコトだけを目的としたトラックでもなければ、リスニングだけを意識した作品でもナイ。まさにDJユースとリスニングの境界線を軽やかに飛び越えたHouse Musicと言えるでしょう。


MAW Recordsだからこそ生まれた洗練と泥臭さ

リリースはMAW Records…90年代後半のN.Y. Houseシーンを象徴する名門レーベルですが、この時代のMAW作品特有の洗練と泥臭さの共存が、この1枚にも色濃く刻まれています。Houseというフォーマットを基本に置きながら、その中へJazz、Soul、Latinといったブラック・ミュージックの要素を自然に流し込み、決して「○○風House」という表面的なスタイルで終わらせない。All That JazzもJazzの雰囲気を借りただけのHouseではなく、演奏の間、ヴォーカルの揺らぎ、リズムの呼吸といったJazzが本来持っている感覚までDance Musicへ持ち込んでいるトコロが実にイイんですよね。「踊るための音楽」と「聴かせる音楽」が当たり前のように共存していた、90年代N.Y. Houseの豊かさをそのまま伝えてくれる1枚です。


13分超えだからこそ成立するHouse Mix

さらに特筆したいのが、カップリングに収録された13分超えのHouse Mix。近年の短尺化されたDance Musicとは真逆を行く長さですが、実際に聴いてみると不思議なホド「長い」という感覚がナイんですよね。イントロから少しずつパーカッションやベースが積み重なり、グルーヴが形成され、そこからヴォーカルやフレーズが出入りしながらジワジワと空間の温度を変えていく。すぐに答えを出さず、時間をかけてフロアへ作用していく構成だからこそ13分という尺が必要なんです。DJにとっては前後の曲をミックスする余白が十分にあり、フロアの反応を見ながら展開をコントロールできる。つまり「長い」のではなく、DJが音楽へ介入するための時間まで含めてデザインされている。この感覚こそ12インチHouse Mixのおもしろさでしょうね。


12インチだから見えてくる90年代Jazzy Houseの奥行き

そして、このタイプの曲こそ12インチで鳴らした時のおもしろさが際立ちます。ウッドベース風の低域はしなやかに沈み込み、オルガンやパーカッションはその上で立体的に跳ね、Yavahnの声がさらに上の空間を自由に飛び回っていく。ひとつひとつの音にしっかり居場所があるため、少し音量を上げて聴くと、まるで目の前で演奏が始まったような奥行きがカンジられるんですよね。デジタル的な精密さとは違う、人間の体温を残したHouse Music…こうした音像をしっかり受け止められるのも12インチというフォーマットの魅力です。クラブの大型スピーカーはもちろん、自宅のシステムでジックリ鳴らしても、その豊かな音楽性を存分に楽しむコトができます。


もっと再評価されてイイ90年代Jazzy House

90年代Jazzy Houseを語る上で、もっと再評価されるべき1枚といった存在で、流行を追うだけでは辿り着けない、本当にセンスの良いHouse Musicがココに再現されています。ハデなシンセリフや強烈なドロップで瞬間的にフロアを沸かせるワケではナイ。しかしグルーヴの中へ入ってしまえば、ベース、オルガン、パーカッション、そしてYavahnのスキャットが少しずつ絡み合い、いつの間にか抜け出せなくなっている。クラブミュージックが単なる機能性ではなく、芸術性や生演奏のスリルと自然に結びついていた時代の魅力が、この12インチにはしっかり刻まれています。ぜひ12インチの音圧で体感してみてください。針を落とした瞬間、あなたの部屋は深夜のN.Y.のJazzクラブへ変わるはずです。

 

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